■[社会][非モテ][書籍][コミック]非モテやブスはイケメンや美人を否定して、どうしたい？ 18:07

　理性主義という言葉があります。

　理性主義とは啓蒙思想における理性絶対主義とも言いますが、啓蒙思想はあらゆる人間が共通の理性をもっていると措定し、世界に何らかの根本法則や真理原則があり、それは理性によって認知可能であるとする考え方とされています。

　つまり、理性主義はあらゆる領域での理性という名のエゴの肥大を意味し、さまざまな科学的発見により合理的な進歩が裏付けられていると考えられていました。そしていまでもそうした理性主義は幅を利かせています。

　それは努力すれば何事も解決し、物事が解決しないのは努力が足りない所為だという精神主義へと繋がっています。（以上はwikiの啓蒙思想の文章を改造）

　そうした理性主義においては、純粋理性というものがあるとされてきましたが、はっきり言うと嘘です。

　人間は正義や理屈や道理を大声で叫ぶ人ほど、その背後には嫉妬や欲望やコンプレックスが存在します。

　以下はそうした実例を挙げながら語って生きたいと思います。

　かつて、山岳ベースで永田洋子という女帝が猛威を振るった時代がありました。その狂気に満ちた行いは、嫉妬や憎悪を背後に持ちながらも、理屈を以って彼女の目から見た造反者を次々と粛清していきました。

　永田洋子についてはいつもなら敬称をつける私ですが、敢えて継承を外して呼び捨てにします。

　そんな彼女たちが行った「総括」と呼ばれるリンチの理屈については以下の通りです。

　殴って気絶させ、目覚めたときには別の人格に生まれ変わり、「共産主義化」された真の革命戦士になれるという論理を展開し、仲間にも強いたが、絶対的上下関係の中でその思考は疑われることなく受け入れられていった。総括はあくまでも「援助」であり、「お前のためなんだぞ」といいながら殴り倒した。メンバーの一人は「俺のことを小ブル主義者と呼んだだろ」と口走ったことで、個人的な怨みで総括を行っているとして、総括要求された。

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　　では永田"たち"の行った総括の総括理由を見ていきましょう。そして、女性の総括理由に着目していきましょう。

◆山岳ベース事件　被害者

死亡日　　　　 メンバー　 総括事由　　　

　71年12月31日　　尾崎充男　　日和見主義

　72年1月1日　　　進藤隆三郎　総括不十分

　72年1月1日　　　小嶋和子　　接吻　　　　　　　

　72年1月4日　　　加藤能敬　　接吻

　72年1月7日　　　遠山美枝子　総括不十分

　72年1月9日　　　行方正時　　不適切発言

　72年1月17日　　 寺岡恒一　 不適切発言等

　72年1月19日　　 山崎順　　 死刑不参加等で死刑

72年1月30日　　 山本順一　　不適切発言

72年1月30日　　 大槻節子　　永田の嫉み　　　　　　

72年2月4日　　　金子みちよ　永田の嫉み　　　　　　

72年2月12日　　　山田孝　　 単独行動　　　　　　

　金子みちよさんが一番酷く、彼女は妊娠八ヶ月なのにおなかの中の子ども諸共殴り殺されました。

　上で紹介した総括については、下記サイトが詳しいですが、かなり凄惨なので要注意です。

No.036　連合赤軍02〜仲間12人をリンチにかけて殺害する

　さて、わざわざこんな事を羅列した理由についてですが、人間は理屈や理性を真顔で言い張る時こそが、一番日人情的なことを平気で出来るという実例を示したかったのです。

　理性主義の下に放たれる「努力が足りない」という言葉は、人間が己の意思のみで何事もなせるはずだという傲慢な思い上がりから来る言葉なのは、当方のブログをお読みの方はお気づきの事だと思います。

　「努力が足りない」という言葉を「革命戦士としての自覚が足りない！」と言い換えて気に入らない人間の虐殺を行った永田という実例があるだけに。

　私の妹も、永田のように自分が正しいという絶対性をもって他者を否定していましたが、他者を声高に否定するものほど、余裕がなくて、他人におびえる小心な人間である事は明白です。そうした絶対の正義しか、己が頼るものが無いからです。人によっては、男性に依存する事でそれをカバーしようとする、『めだかボックス』の阿久根の言葉を借りるならば、「絶対に人生を失敗するタイプ」も存在します。

　さて、山岳ベース事件が理性主義からきた人間味のない理屈のみの殺戮だったわけですが、その原点はフランス革命にあります。

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　フランス革命でギロチン台を一番稼動させたロベスピエールは、個人としては恐ろしく潔癖で素晴らしい人間だったと言われています。興味深い事にポルポトも、個人としてはとても素晴らしい人間だったそうです。

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　しかし理性主義とは、本質的にそれを扱う人間の側に嫉妬や欲望といった要素があるため、純粋理性といったものは絵に描いたモチでしかないわけです。

　ためしに「効率をアップしろ」という人が、利他精神を持って効率をアップすることを口にしているかどうかを考えてみると分かりやすいです。その人はこう嘯くでしょう。「〜のためだ」と。ですが、その人が効率化を図った時、その人の功績とならない場合においても果たして効率化を図るかどうかは疑問です。

　効率主義や理性主義とは、それを扱う側の人間の心に欲望がある限り、それは利己主義でもあるのです。

　以下は、女性や自分らしさについて悩んでいた中村うさぎさんの著書『こんなわたしが大嫌い』からの抜粋です。

　あの子は、わたしよりブス。そう思ったとたんに、胸の奥に「自慢げに肩をそびやかしている自分」が見える。凄くイヤな自分だ。だけど「人より優れている」ということが、すごく気持ちいいことも確か。その子がちょっとでも生意気な事を言うと、「ブスのくせに！」と心の中でつぶやいている自分もいる。

　中略

　それから、今度は他の子を見る。あの子は、わたしより美人。そう思ったとたん、さっきまで得意げに肩をそびやかしていた自分は、急にショボンと肩をすぼめる。あの子に比べたら、わたしなんかブスだ。目も小さいし、鼻も低いし、ああもう、自分の顔が大嫌い！　どうしてこんな顔に生まれちゃっただろ。

　中略

　そして、美人の子が羨ましくて羨ましくて、気がついたらなんだか憎らしく感じてる自分がいる。

　その子の言う事なすこと、すべてが自慢たらしく見えて、煮えくり返るような気持ちになってる。そう、いわゆる「嫉妬」の感情だ。

　中村先生のように、自分自身が何者かを自覚されている方でも（いや、だからこそ）このような感情は否定できないわけです。男に比べて女性の方は美醜で人生の方向や男性からの扱いが露骨に変わるだけに、その思いのほどはいかばかりのものでしょうか。

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　そしてそうした感情を抱いた際に、権力を有していて、閉鎖的な環境だった場合、理屈で感情を武装して他者を攻撃、殺害したのが、永田洋子だったわけです。

　わたしの妹の場合も、早稲田まで卒業したのに現在無職であるというコンプレックスがあったため、他者の瑕疵を見つけると、鬼の首を取ったかのように無限に否定して、自分を高めるわけです。本人にはその自覚がないだけに恐ろしいです。

　しかし中村さんがおっしゃるように、人は己がそうであるように、美人やイケメンやモテる人たちも、劣等感や嫉妬の感情に苦しんでいる、同じ人間であると気付くべきなのです。

　しかし、理性主義や理屈といった感情の要素を排除したもので武装してかりそめの安心を得た人は、他者を否定するという安易な方法を選びがちです。

　なぜなら、自分自身と向き合って、自分と他人を照らし合わせて自分や他人を理解するよりも、「自分が絶対に正しい被害者だ」と思い込んだ方が楽だからです。

　秋葉原事件も池田小学校事件も、自分が被害者であり、また世界が平等なはずなのに、何故自分がこんな目に遭うのかという問いかけをしつつも、それに答えてくれる人とめぐり合えなかった事で事件は起きました。

　全般的に女性はそうした事件は起こさない傾向にありますが、人の肉体こそ殺さねど、心を殺そうとする傾向はあります。しかも自分が被害者という立場のままで。

　私自身、中学校の頃に正しさを思い込んで不良に服装を注意するというバカの極みの行いをしたことがありました。

　そして不良の心を傷つけた加害者であるわたしが泣き出して、被害者を演じるという最悪のやり方を取った事は未だに覚えています。

　わたしが小学校の頃、「○○くんは悲劇のヒーローになろうとするところがあるね」といわれた事がありましたが、そういわれる背景には「自分は絶対に正しい、間違っているのは向こうだ」といった、理屈で武装した小心な魂があるわけです。

　毎度書きたいことを書き散らして後仕舞いをしないのがわたしですが、理性主義や他者を正論で否定する人は一見正しいことを言っているようですが、その人の発言と行いを冷静に見つめてみると、おおよそエゴイストである可能性が高いと、わたしの経験から言ってみます。

　先日ツイッター上で「仕事ができない人とか、彼女や彼氏が全然できない人、結婚できない人って、メールが酷いんだわ。彼らは相手に対する思いやりや愛情がない」（うろ覚え）と正論を叫ぶ女性がいらっしゃいましたが、当方が「切り捨てるのは結構ですが、どうしたらいいのかという、他人を思いやる愛情のアドバイスがないと、不幸の連鎖の源になりますよ」とレスをしたところ。

　「思いやりを持ちましょう」という素晴らしくも簡潔なレスが返ってきました。

　「いや、思いやりがなくて困ってる人に『思いやりを持ちましょう』は、精神主義の思考停止でしょう。何故彼らがそうなるかの原因も探らないと」と返したところ、「そんな暇はない」という素敵なお答えが。

　この方のツイートを見ていると、「努力しないものはクズ！」というスタンスなので、そうした努力という理性主義の発露を疑いもなく信じているのだろうなと確信しました。

　そうした他者を見下す優越感に浸った彼女の発言と、中村うさぎさんの書籍から抜粋した部分とを重ね合わせると、何かが見えてきます。

　人間、余裕があったり、上を常に目指している人は足元を見たりはしませんからね。

　他者を見下す人は、それによって安心を得ようとするおびえる魂の持ち主である事は、わたしやわたしの妹の実例を見れば明白です。

　わたしは思うのですが、正論や理屈を持って他者を否定しようとする人は、そうした悪循環の否定の連鎖に気付いていないような、そんな気がします。

　ティエリア「なまじ知性があるから些細な事を誤解する」

　刹那「それが嘘となり、相手を区別し」

　ティエリア「わかりあえなくなる。単に気付いてないだけなんだ」

　刹那「だから、示さなくてはならない。世界とはこんなにも簡単だということを！」

　あなたにとって、他者を否定して得られるものって、何ですか？